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ジャーナリスト「私」のリアリティ


by kenji_goto

From SIERRA LEONE

 湿度ほとんど100%にピーカンの陽射し続き、本当に体も脳ミソもとろけてしまいそう。
ADSLのあるITNETカフェがありますが、ラップトップが使えないなど、メール環境が整っているとは言えない。
 また、国自体の電気などインフラ整備が間に合っていないため、いつ使えなくなっても不思議ではなさそうだ。石油も品薄。時差は日本からマイナス9時間。

 とはいえ、戦争の傷跡そのものは表面的には見えない。
 ビーチには人が溢れ、UNAMSIL関係者や特にビジネスマンの白人の姿にも普通に出会う。その家族なのか、中年女性の団体にも遭遇した。明らかなる観光客風情のグループまで。ブリュッセルから6時間半の快適なアクセスによって、一部で新たな観光スポットになりつつあるのかも知れない。
 リベリアもここも、海やビーチは美しいけれど、あまりに悲しい光景が想い出されて、自分には、喜んでいいのか、悲しんでいいのやら、複雑な感覚がある。
 ただひとつ思うのは、殺し合わない今という時が、人びとにとっては唯一価値あるものなのかも知れないということだ。
 また、シエラレオネは、貧しさが際立って見える。
 2000年の取材は戦争中だったし、前回12月も、子ども兵士に集中した短期リサーチだったので、深く認識はできなかったけれど、今回はよくわかる。
 ポスト・コンフリクトの後、武装解除も終わって、国際支援がひいて行った後に残される「もの」がはっきり示されています。

 原油価格の上昇や中東の不安定な情勢のせいでロシアや西アフリカ沖での石油開発が急ピッチで進められていると聞いた。まだ商業化できる段階ではないのかもしれないが、そうした富は、環境に恵まれ人脈のある人や要領の良い人だけが恩恵にあずかることができて、貧しい人たちの頭の上は素通りしていくのかと思うと、やりきれないものがある。

 戦禍がやみ、平穏さを取りもどすにつれて浮かび上がるどうしようもない貧困。
 富む人と、貧しさに再編入されていく人たちの格差は、それこそ天と地ほどのものがある。(似たような状況はアフガニスタンにもあるけれど、アフガンの方が「麻薬作ってでも生活せんとあかん」みたいなしたたかさもあって、復興気運を引き続き下支えしているように感じる。)

 国連への期待や支持は、しだいに失望や無関心へと変わっていく。また、国連の働きも人も官僚的なところが目につくようになって、それにメスが入れられることもない(→ジャーナリストの仕事か)。
 戦争を起こすのも人間、その手当てにあたるのもまた人間-人道援助の存在理由を考えるのに役立つ現実が、ここにはあると感じる。
by kenji_goto | 2005-04-18 01:41 | シエラレオネ